先行投資でEC事業の成長を加速する「広告宣伝費」というガソリンの大切さ【TUNA×AD YELL】
ShopifyのECスタートアップパッケージ「TUNA」のサービスラインナップに、「広告資金サポート缶」として新たに加わった広告費分割・後払いサービスの「AD YELL（アドエール）」。
EC事業者の重要な集客手段となるWeb広告の出稿資金を『BNPL』（Buy Now, Pay Later）という方法で分割・後払いできるため、本来の事業運営に必要なキャッシュフローを圧迫せず事業成長を後押しするサービスだ。
「TUNA」と「AD YELL」。2つのサービスが組み合わさることで、ECスタートアップ企業にどのようなソリューションを提供できるのか？
「TUNA」を提供する株式会社RESORT Co-Founder & Chairmanの石川森生氏と、「AD YELL」を提供する株式会社バンカブル 代表取締役社長の髙瀬大輔氏に、事業成長に伴ってぶつかる課題を踏まえてディスカッションしていただいた。
石川：まず、「AD YELL」というサービスを始めた経緯をお伺いしたくて。広告事業もいろんな課題がある中で、なぜ「広告宣伝費の立て替え」に目をつけたんですか？
髙瀬：きっかけは色々あるのですが、 1つは事業会社にいた時の体験が影響していますね。特にスタートアップにいたとき、事業立ち上げから一緒にやっていると5万円、10万円の広告宣伝費さえ、手に汗を握りながら『本当にこれをやるべきか？』みたいなことを真剣に考えるようになるんですよ。
代表ではないし、私の給料が途絶えることはなかったんですが、かっこよく言うと「1円の重み」みたいものを日々感じていたという原体験があります。
石川：スタートアップでの資金繰りを身近に感じていた体験があった、と。
髙瀬：事業会社もインハウスのマーケターも経験した自分の体験から、EC事業の会社を助けられるとしたら、『キャッシュフローなどの資金面を、どれだけよくできるかが重要じゃないか？』という視点があったんです。
そこに、たまたま金融バックボーンの人間がグループ内に転職してきたんです。
話をしてみたところ、『こんなサービスなら、いけるんじゃないか！』と道筋がみえた気がしました。僕の体験と、彼の起案と、グループの方向性とかが副次的に相まって、じゃあやろうよって握手をして誕生したのが「AD YELL」なんです。
石川：デジタルホールディングスという大企業の中にあってすごくベンチャーっぽいですね！（笑）「金融事業をやりたい」っていうゴールから逆算して作ったのかと思ったんですが、そうじゃないんですね。実際に走り出してみてどうですか？
髙瀬：順調にグロースを続けていて、「AD YELL」を通じた広告費の流通総額が9ヶ月で100億円ほどになりました。
石川：9ヶ月で100億も広告で回せているのはすごいことですよ。そんなに営業されてましたっけ？
髙瀬：経営者から経営者に・・・というつながりで、どんどんサービスをご利用いただいています。お客様の悩みとしては、「売れ行きが好調で広告を出してさらにアクセルを踏みたいけど、在庫が枯渇しそうだから仕入れを強化して先にお金が出ていってしまった。だから、広告出稿に踏み切れない」とか、「このキャッシュは他に用途があるからどうしよう」とか。
広告宣伝費単体だと、短期でお金を借りられないので、その課題を解決するいいものがあった！みたいな。「AD YELL」があるから先行投資をかけられて、かつキャッシュアウトも分散させられて、お金の入りを立てられる。 ありがとう！といった反応がすごく多いです。
石川：僕も何社か関わってるところでVCを回っていたりするんですけど、やっぱりコロナ前と比べて資金調達が難しくて、特に広告宣伝費まわりでグロースする絵を描いても出ないんですよ。
髙瀬：広告宣伝費ってどうしても“経費”なので、そこにファイナンスってつかないですもんね。VCと違うのは、私たちは広告費用を一括で立て替えているだけで、融資はしていないんですよ。先にお金が出ていかずに分割でお支払いいただくことで、簡単に早く調達に似たベネフィットを得ることができて、広告宣伝費への投資をすぐにかけられる。ユニットエコノミクスが見えるモデリングを組んでいるので、私たちも一緒にリスクを背負って立っています、と言えることにもすごくいい反応がありました。
私たちは広告領域の中でのリターン予測モデリングを組んでいくことでリスクの許容を狭めているので、今のところデフォルト率「0％」になっています。
石川：与信が通りやすいのはユニットエコノミクスがある程度見えやすいD2C系の企業になるんですかね？
髙瀬：与信の通りやすさでいうと、そうですね。顧客全体の8割ぐらいがD2CなどのEC事業者様ですね。
あとはご支援させていただく規模感にもレンジがあって。すでにグロースし始めているという事業者様もいらっしゃれば、これから頑張ります！っという方々もいらっしゃいます。後者ってまだほとんど実績がない状態ではあるんですが、与信が通りませんとお断りするのではなく、今の事業の状態を確認させていただいて、まずミニマムから始めましょうと。モニタリングさせていただいてリターンが見えてきたとなったら、じゃあ増枠してみましょうとステップアップしていくこともできます。
石川：今のフェーズは、本当は先に資金を投入したいんだけど、キャッシュが不安定だからどうしよう・・・みたいな成長を足踏みしている企業にとって嬉しいサービスってことですね。逆に言えば「AD YELL」で与信を通したところは大体その通りに事業成長してるってことですよね。
髙瀬：実は去年1年間の「AD YELL」のお客様のサービス利用前後の売上成長率の中央値を財務諸表ベースで出してみたんですよ。結果「62.1ポイント」アップだったんです。
当然ファクターは広告だけじゃないですが、少なからずリターン予測モデルを組んでいるし、「62.1ポイント」の成長率は事実ベースと言っていいんじゃないかと思っています。
データとして出てくるとやっぱり嬉しいなと思いますね。
石川：僕も家具のEC事業の「kanademono」を運営していますが、やっぱり広告ドリブンで伸ばせる期間ってあるなってすごく実感してます。
費用対効果が測りにくいブランディング施策に対しての投資が1番難しいんですけど、やっぱり広告宣伝に費用をかけて何百万回もビューがあったあとにオーガニックが伸びるってことが明らかにあるんですよ。そこに投資しない限りベンチャーって伸びないなっていうのが実感としてありますね。
髙瀬：各社さん事業に没入しているんで自分たちがどれだけ投じたら、ユニットエコノミクスはどれくらいかってわかっているところが多いんですよ。でも、回収が後になっちゃうんで、先行投資がつらいんですよね。今資金を入れたら半年後にこうなるってわかっているのに・・・みたいな。この“ペイン”なんですよね。
石川：そういうところに『広告宣伝費というガソリンをしっかり入れましょう』って話ですよね。
髙瀬：今まで世の中にこういうサービスってあまりなかったので、気合でデッドファイナンス回ってジリ貧になってしまう、それさえもできなくてランウェイの最後を迎えてしまう・・・みたいなパターンが多くて。
石川：後者が多いですよね。
髙瀬：急にここでウェットな感じになるんですけど、プロダクトがすごくいいとか、サービスがすごく素敵なところがそういう結末を迎えてしまうのはもったいないじゃないですか。いい商品やサービスがお客さんの手に届かないって、すごく不幸せですよね。健全にやっているのに、そもそもお金が理由でバッターボックスに立てないっていうのは好ましい状況じゃないなと。
石川：まさに僕たちがRESORTでやってるのも同じ考えなんですよ。僕らはそれをマーケティングとかクリエイティブの部分とか、実務上必要な機能をハンズオンで支援しますよ、っていうスタンスでやっているんですよね。
得意領域として『EC』ってのが1個あるので、イチからECサイトを作ったら結構コストがかかっちゃうけれど、僕らが持ってるノウハウをテンプレート化したものを使って低コストで品質の高いECサイトが作れたら嬉しいんじゃないか？という発想から誕生したのが「TUNA」なんですよ。
髙瀬：資金やリソースに余裕がないところにとってありがたいですよね。
石川：でも僕らはキャッシュのところはサポートしてあげられないんで、バンカブルさんの「AD YELL」と組めたらめちゃくちゃいいねと。
僕らがクリエイティブもマーケティングもサポートしますと。なので、「AD YELL」で広告宣伝費という名のガソリンだけ注入してください！っていうのができたらすごくおもしろいなと思って協業をお声がけさせていただいたんですよ。
髙瀬：そのイメージがすぐ湧いたので、やらない理由がない、と思いました。本当に事業者様のためになると思うんですよね。心からそう思える事業の組み合わせってあまりない気がするので、お話をいただいてすごく嬉しかったです。
石川：すごく手前味噌ですけど、この座組みで向き合って支援していったら事業を伸ばせるだろうと思うんですよ。ぜひともそういう事例をまた一緒に作って、どういうフェーズで、それぞれがどういうケーパビリティで動いて、事業がグロースしたのかっていうのを発表していけるようにしたいですね。
髙瀬：この座組で成功することは、事業者様にとっても「TUNA」にとっても、「AD YELL」にとっても、3社にとって嬉しいことですよね。ぜひ実現していければと思います。
【株式会社バンカブル】
バンカブルは、「新たな金融のカタチを創る」をミッションに掲げ、「お金」を事業の成長エンジンにできる仕組みを構築する企業です。「お金」にまつわる世界で、人生をかけて素晴らしい商品/サービスを提供している方々を応援し、誰もが公平に挑戦できる社会の実現を目指します。従来の金融の仕組みやルールにとらわれず、柔軟かつスピーディーに適切な「お金」を提供できる新たな金融サービスを創出している。
＜会社概要＞
設立年月 ：2021年1月18日
資本金 ：3,379,999,998円（資本準備金含む）
代表者名 ：代表取締役社長 髙瀬 大輔
本社所在地：東京都千代田区四番町6番 東急番町ビル
事業内容 ：金融関連サービス事業
Webサイト：https://vankable.co.jp