プラスシッピングとは?Shopifyの配送業務を効率化する使い方と料金、ヤマト対応のメリットを解説
Shopifyでオンラインストアを運営する上で、多くのオーナーが直面する壁が「配送業務」です。商品の受注が増えるのは喜ばしいことですが、それに伴い、送り状の作成、梱包、集荷依頼といった作業が爆発的に増加します。手作業での対応には限界があり、入力ミスによる誤配送や、配送作業に追われて本来注力すべきマーケティングや商品開発がおろそかになる、といった事態に陥りがちです。
そんなShopifyオーナーの悩みを解決する手段として注目されているのが、今回ご紹介する「プラスシッピング」です。プラスシッピングを導入することで、これまで手作業で行っていた面倒な配送業務を大幅に自動化し、時間とコストを削減できます。
この記事では、プラスシッピングがどのようなアプリなのか、具体的な使い方から料金体系、導入のメリット・注意点まで、EC担当者が知りたい情報を網羅的に解説します。配送業務の非効率さに課題を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
プラスシッピングとは?Shopifyの配送業務を効率化するアプリ
プラスシッピングは、三井物産株式会社が提供するShopify専用の配送業務効率化アプリです。Shopifyストアと連携することで、注文情報を自動で取り込み、各配送業者の送り状を簡単かつ一括で発行できます。これまで1件ずつ手入力していた作業をなくし、配送にかかる時間と手間を劇的に削減することを目的としています。
特に、小規模から中規模のEC事業者にとって、日々の配送業務は利益を圧迫するほどの負担になりかねません。プラスシッピングは、そんな事業者の強力な味方となる機能を多数搭載しています。
面倒な送り状発行をかんたん自動化

プラスシッピング最大の特長は、送り状発行の自動化機能です。Shopifyで受けた注文情報は、アプリに自動で同期されます。ストアオーナーは、管理画面から発行したい注文データを選択し、ボタンをクリックするだけで、指定した配送業者の送り状を一括で印刷できます。
これにより、以下のような手作業によるミスや手間を根本から解消します。
- 宛名や住所の書き間違い・入力ミス
- 注文情報と送り状の照合にかかる時間
- 配送業者ごとの専用ソフトを立ち上げる手間
例えば、1日に50件の発送があった場合、手作業では数時間かかっていた送り状作成が、プラスシッピングを使えばわずか数分で完了します。このインパクトは、ビジネスが成長すればするほど大きくなります。
ヤマト・佐川・日本郵便の大手3社に対応

配送業者の選択肢は、顧客満足度やストアの信頼性に直結します。プラスシッピングは、日本のECで利用頻度が非常に高い以下の大手3社に標準で対応しています。
- ヤマト運輸:宅急便、宅急便コンパクト、クール宅急便、ネコポス
- 佐川急便:飛脚宅配便、飛脚クール便
- 日本郵便:ゆうパック、ゆうパケット、クリックポスト
特別契約運賃で配送料をコストカット

配送料は、EC事業の利益率を左右する重要なコストです。個人事業主や小規模なストアが個別に配送業者と価格交渉を行うのは難しく、どうしても定価に近い送料を支払っているケースが少なくありません。
プラスシッピングは、アプリ利用事業者向けに、ヤマト運輸と佐川急便の「特別契約運賃」を提供しています。これは、プラスシッピングが多数の利用者の出荷量を背景に配送業者と交渉することで実現した、通常よりも割安な送料です。アプリを導入するだけで、この特別運賃が自動的に適用されるため、1件あたりの配送コストを確実に削減できます。
具体的な割引額は荷物のサイズや配送先によって異なりますが、月間の出荷件数が多いストアほど、そのコスト削減効果は大きくなります。利益率の改善に直結する、非常に大きなメリットと言えるでしょう。
新しいツールを導入する際は、全ての注文を一度に移行しようとせず、まずは1日に数件の注文からプラスシッピングで処理してみるのがおすすめです。
「本当に簡単に出荷できた」「時間が大幅に短縮された」という小さな成功体験を積み重ねることで、ツールへの信頼感が生まれ、本格導入への心理的なハードルがぐっと下がります。
プラスシッピングの料金体系|月額費用と送料は?
配送業務の効率化とコスト削減に大きく貢献するプラスシッピングですが、導入を検討する上で最も気になるのが料金体系でしょう。ここでは、アプリの月額料金と、多くの人が知りたいプラスシッピングの送料について詳しく解説します。
アプリの月額料金プラン
プラスシッピングのアプリ利用料金は、月額無料です。全てのプランで、送り状発行、集荷依頼、追跡番号の自動通知といった基本機能を利用できます。
プランはSilver、Gold、Platinumと3種類が展開されており、月間出荷件数に応じて適用プラン・配送料金が変動するモデルとなっています。
プラスシッピングの送料の目安

プラスシッピングを利用する最大のメリットの一つが、先述した「特別契約運賃」です。では、実際の送料はどのくらいになるのでしょうか。
送料は荷物のサイズ(60サイズ、80サイズなど)と配送先の地域によって変動するため、一概に「いくら」と明言することはできません。しかし、一般的に個人がヤマト運輸や佐川急便の通常料金で発送する場合と比較して、1件あたり数十円から百数十円程度のコストダウンが見込めるケースが多いようです。
例えば、月に200件発送するストアで、1件あたりの送料が平均80円安くなると仮定すると、月間で16,000円、年間では約20万円ものコスト削減に繋がります。
クール便や複数個口配送の対応
食品や生鮮品を扱うストアにとって、クール便(冷蔵・冷凍)への対応は必須条件です。プラスシッピングは、ヤマト運輸の「クール宅急便」と佐川急便の「飛脚クール便」の両方に対応しており、それぞれの送り状を問題なく発行できます。
また、顧客が一度に複数の商品を注文し、一つの箱に収まらない場合の「複数個口配送」にも対応しています。注文詳細画面から個口数を設定することで、それぞれの荷物に対する送り状を発行できるため、大型商品やまとめ買いが多いストアでも安心して利用できます。
プラスシッピング導入後は、定期的に「もし通常料金で発送していた場合の総額」と「実際に支払った送料総額」を比較し、削減できたコストを可視化することが重要です。
この「見えない利益」を把握することで、ツールの投資対効果を正確に評価し、次のマーケティング施策の原資として戦略的に活用できます。
プラスシッピングの基本的な使い方
「高機能なのは分かったけど、使いこなせるか不安…」と感じる方もいるかもしれません。しかし、プラスシッピングは直感的なインターフェースで設計されており、基本的な操作は非常にシンプルです。ここでは、導入から実際の送り状発行までの流れを3つのステップに分けて解説します。
導入から初期設定までの流れ
まずはShopifyアプリストアからプラスシッピングをインストールします。インストール後、以下の初期設定を行います。
- アカウント作成とストア連携:アプリの指示に従い、アカウントを作成し、Shopifyストアと連携を許可します。
- 利用する配送業者との調整・送り状台紙の受取:ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の中から、利用したい配送業者を選択し、必要な情報(お客様コードなど)を登録します。
- サブスクリプション機能のON:配送業者との調整が済み次第、Shopify管理画面からアプリのサブスクリプション承認を行う必要があります。ここまで即日から3〜5営業日ほどで手続きが完了します。
これらの設定は一度行えば完了です。丁寧なマニュアルも用意されているため、迷うことは少ないでしょう。
注文データの取り込みと送り状の一括発行
初期設定が完了すると、Shopifyの注文情報が自動的にプラスシッピングの管理画面に同期され始めます。送り状を発行する際の具体的な手順は以下の通りです。
- 注文の選択:管理画面に表示された注文リストから、発送準備ができた注文にチェックを入れます。
- 配送方法の指定:選択した注文に対して、どの配送業者のどのサービス(例:ヤマト運輸・宅急便)を利用するかを指定します。商品ごとや注文ごとに異なる配送方法を設定することも可能です。
- 一括発行:内容を確認し、「送り状を発行する」ボタンをクリックします。
- 印刷:プレビュー画面が表示された後、接続されているプリンタから送り状が一括で印刷されます。
この間、わずか数クリック。手作業で住所をコピー&ペーストしたり、品名を手書きしたりする作業は一切不要です。
集荷依頼と追跡番号の自動通知機能
送り状を発行した後は、荷物を配送業者に引き渡す必要があります。プラスシッピングでは、アプリの管理画面から直接、ヤマト運輸と佐川急便への集荷依頼が可能です。わざわざ配送業者のウェブサイトや電話で依頼する手間が省け、発送業務のフローがアプリ内で完結します。
さらに、送り状発行時に採番された「追跡番号」は、自動的にShopifyの注文情報に反映されます。そして、Shopifyの発送通知メール機能と連携し、顧客へ追跡番号を含む発送完了メールが自動で送信されます。
この機能により、追跡番号の入力ミスがなくなるだけでなく、顧客からの「商品はいつ届きますか?」といった問い合わせを減らし、顧客満足度の向上とサポート業務の負担軽減を同時に実現します。
プラスシッピングを導入したら、「送り状を先にまとめて印刷し、その伝票を見ながらピッキング・梱包する」という新しい出荷フローを試してみてください。
従来の「商品をピッキングしてから送り状を作成する」フローよりも、作業動線がシンプルになり、ミスが減って全体の作業時間をさらに短縮できるケースが多いです。
プラスシッピングを導入する前に知っておきたいメリット・注意点
プラスシッピングは非常に強力なツールですが、導入を決定する前に、改めてそのメリットと、いくつか留意すべき点を整理しておきましょう。これらを理解することで、導入後のギャップを防ぎ、アプリの効果を最大限に引き出すことができます。
メリット1. コア業務に集中できる時間が増える
最大のメリットは、配送業務にかけていた時間を大幅に削減し、そのリソースを本来注力すべきコア業務に再配分できることです。
- 商品企画・開発:顧客のニーズに応える新商品を考える時間
- マーケティング・販促:SNS運用や広告出稿、キャンペーン企画の実施
- 顧客対応・CRM:リピーター育成のための丁寧なコミュニケーション
単純作業から解放されることで、事業を成長させるための戦略的な活動に時間を使えるようになります。これは、単なるコスト削減以上の、未来への投資と言えるでしょう。
メリット2. ヒューマンエラー削減と顧客満足度向上
手作業による送り状作成は、どんなに注意していてもミスが発生する可能性があります。宛名の入力間違いは、誤配送や配送遅延に直結し、顧客からの信頼を大きく損ないます。プラスシッピングは注文情報をそのまま利用するため、こうしたヒューマンエラーを限りなくゼロに近づけることができます。
また、追跡番号の自動通知機能により、顧客は自分の荷物がどこにあるのかをいつでも確認でき、安心感が高まります。正確でスピーディーな配送体制は、ストアの信頼性を高め、結果として顧客満足度の向上、さらにはリピート購入へと繋がる好循環を生み出します。
注意点:海外発送には非対応
プラスシッピングは、日本国内の配送業務に特化したアプリです。そのため、2024年現在、FedExやDHLといった海外配送キャリアには対応しておらず、海外への発送(越境EC)には利用できません。
もし、海外の顧客への販売を主軸にしている、あるいは将来的に本格的な海外展開を計画している場合は、前述の「Ship&co」のようなグローバル対応のアプリを検討する必要があります。自社の事業展開の方向性を見極めた上で、最適なツールを選択することが重要です。
Shopifyの配送はプラスシッピングでスマートに
本記事では、Shopifyの配送業務を劇的に効率化するアプリ「プラスシッピング」について、その機能から料金、使い方、メリットに至るまで詳しく解説しました。
【この記事のポイント】
- 業務効率化:Shopifyと連携し、ヤマト・佐川・日本郵便の送り状を一括で発行。手作業による時間とミスを大幅に削減します。
- コスト削減:アプリ利用者向けの「特別契約運賃」が適用され、個人で契約するより配送料を安く抑えることが可能です。
- 顧客満足度向上:追跡番号の自動通知や正確な配送により、顧客の安心感とストアへの信頼が高まります。
- シンプルな操作性:直感的なインターフェースで、導入から実運用までが非常にスムーズ。14日間の無料トライアルで試せます。
もしあなたが今、「毎日の送り状作成にうんざりしている」「配送コストが利益を圧迫している」「発送作業に追われて、新しい施策を考える時間がない」といった悩みを抱えているなら、プラスシッピングは間違いなくその解決策となります。
日々のルーティンワークを賢く自動化し、削減できた時間とコストを事業成長のために再投資する。プラスシッピングを導入して、スマートなEC運営を実現してみてはいかがでしょうか。