Shopify越境ECの始め方|海外販売の設定から失敗しないための注意点まで網羅解説

Shopify越境ECの始め方|海外販売の設定から失敗しないための注意点まで網羅解説

これからShopifyで海外販売を始めようと考えているものの、何から手をつければいいのか、具体的な手順がわからずにいませんか。「結局、総額でいくらかかるのだろう」「海外の複雑な法律や税金に、自社だけで対応できるだろうか」といった不安から、最初の一歩が踏み出せない方も少なくないのではないでしょうか。

越境ECは大きなチャンスですが、学ぶべき範囲が広く、体系立てて情報を得る機会は多くありません。その結果、断片的な情報を頼りに手探りで進めてしまい、サイト構築だけで力尽きたり、予期せぬコストや法務リスクに直面してプロジェクトが停滞してしまったりと、つまずきの原因になりがちです。

事業計画の立て方から具体的な海外販売の設定、そして失敗しないための注意点まで、あなたの越境ECプロジェクトを成功に導くための全知識を、この一本の記事で網羅的に解説します。

この記事の結論

Shopifyの越境ECは、まず「Shopify Markets」機能でターゲット国を絞り、スモールスタートで始めるのが成功の鍵です。
決済・配送・関税といった複雑な課題は、実績のあるアプリや外部の支援会社を活用することで、リスクを抑えながら効率的に解決できます。
サイト構築と並行して、ターゲット国に合わせた「集客戦略」と「顧客対応体制」を具体的に計画することが、事業を成功させる上で不可欠です。
総費用を見積もる際は、Shopifyの月額費用だけでなく、「アプリ利用料」「決済手数料」「専門家への相談費用」といった変動費も必ず含めて試算しましょう。
海外の法務・税務リスクは自社だけで判断せず、JETROや越境ECに詳しい専門家へ相談し、正確な情報を得ることが重要です。

Shopifyでの越境EC、成功への全ステップ【事業ロードマップ】

Shopifyを使った海外販売は、思いつきで始めて成功するほど簡単ではありません。

成功している企業の多くは、しっかりとしたロードマップを描き、段階的にプロジェクトを進めています。

まずは全体像を把握し、自社が今どの段階にいるのか、次に何をすべきかを明確にしましょう。

  1. 市場調査と事業計画の策定:最初に「どの国で」「何を」「誰に」売るのかを定義します。ターゲット国の市場規模、競合、文化、法規制などを調査し、現実的な売上目標と予算を策定します。この段階で、社内承認を得るための稟議書を作成することも重要です。
  2. Shopifyストアの基本構築:国内向けECサイトと同様に、Shopifyアカウントを開設し、基本的なストア設定(商品登録、デザインテーマ選定など)を行います。
  3. 越境EC特有の設定(決済・配送):本記事の核となる部分です。販売対象国に合わせた言語・通貨、海外決済手段、国際配送方法、そして最も複雑な関税・税務の設定を行います。
  4. サイト公開とテストマーケティング:全ての準備が整ったら、いよいよサイトを公開します。まずは少額の広告費でテストマーケティングを行い、ターゲット顧客の反応や購入プロセスに問題がないかを確認します。
  5. 本格的な海外集客と運用:テストマーケティングの結果を基に、本格的な集客活動を開始します。海外SEO、SNSマーケティング、インフルエンサー施策などを展開し、同時に海外からの問い合わせに対応するカスタマーサポート体制を構築します。
  6. 分析と改善のサイクル:売上データやアクセス解析を基に、常にサイトやマーケティング施策の改善を繰り返します。どの国からのアクセスが多いか、どの商品が人気かといったデータを分析し、次の戦略に活かします。

この6つのステップを意識することで、闇雲に進めることなく、着実にプロジェクトを成功へと導くことができます。

なぜShopifyで海外販売なのか?リアルなメリットと事前に知るべき注意点

数あるECプラットフォームの中で、なぜShopifyが越境ECに選ばれるのでしょうか。

それは、他のプラットフォームにはない明確なメリットがあるからです。

しかし、「簡単」という言葉だけを信じてはいけません。

ここでは、リアルなメリットと、プロジェクト開始前に必ず知っておくべき注意点を包み隠さず解説します。

Shopifyで越境ECを始める3つの大きなメリット

Shopifyが世界中のマーチャントから支持される理由は、特に以下の3点に集約されます。

  • メリット1:低コストかつ迅速に始められる
    自社でゼロから越境ECサイトを開発する場合、数百万から数千万円の開発費用がかかることも珍しくありません。Shopifyなら、月額数千円からのプランでスタートでき、専門的な知識がなくても直感的な操作でストアを構築できます。これにより、大幅なコストと時間を削減し、テストマーケティングを迅速に行うことが可能です。
  • メリット2:豊富なアプリによる高い拡張性
    Shopifyの最大の強みは、Shopify App Storeで提供される8,000以上のアプリにあります。多言語対応、関税計算、海外マーケティングツールなど、越境ECに必要な機能を後から簡単に追加できます。事業の成長に合わせて必要な機能を柔軟に拡張できるため、スモールスタートから大規模な事業展開まで対応可能です。
  • メリット3:グローバル基準の管理機能が標準搭載
    Shopifyはカナダ発のグローバル企業であり、そのプラットフォームは本質的に海外販売を前提として設計されています。「Shopify Markets」という機能を使えば、追加料金なしで販売国ごとの言語・通貨・ドメインなどを一元管理でき、国別に最適化された購入体験を簡単に提供できます。

見落としがちな3つの注意点とその対策

一方で、Shopifyでの越境ECには、事前に理解しておくべき現実的な課題も存在します。

これらを事前に把握し、対策を講じることが成功の鍵です。

  • 注意点1:サイトを作っただけでは売れない(集客は自力)
    Shopifyはあくまで高機能な「お店(プラットフォーム)」であり、Amazonや楽天のような「ショッピングモール」ではありません。そのため、サイトを公開しただけでは誰も訪れません。ターゲット国に合わせたデジタルマーケティング(海外SEO、SNS広告、インフルエンサー活用など)を自社で行う必要があります。
    【対策】:サイト構築予算とは別に、必ず初期のマーケティング予算を確保しましょう。事業計画の段階で、具体的な集客戦略を立てることが不可欠です。
  • 注意点2:アプリの追加で月額費用が増加する
    Shopify本体の月額料金は手頃ですが、高度な機能を実現するためには有料アプリの導入が必要になるケースが多くあります。翻訳アプリ、関税計算アプリ、マーケティング自動化アプリなど、複数のアプリを契約すると、月々のランニングコストが想定以上にかさむ可能性があります。
    【対策】:導入するアプリは本当に必要なものだけに絞り込みましょう。多くのアプリには無料プランや試用期間があるので、まずはそれらを活用して費用対効果を検証することが重要です。
  • 注意点3:決済・税務・法務の専門知識は別途必要
    Shopifyは便利なツールを提供してくれますが、最終的な税務申告や法規制の遵守に関する責任は事業者自身にあります。特に、海外の税制度(米国の売上税やEUのVATなど)は非常に複雑で、知らないうちに法律違反を犯してしまうリスクもゼロではありません。
    【対策】:自社だけで判断せず、早い段階でJETRO(日本貿易振興機構)などの公的機関や、越境ECに詳しい税理士・弁護士といった専門家に相談しましょう。専門家への相談費用も、必要な投資として予算に組み込んでおくことを強く推奨します。

Shopifyで越境ECを始めるための海外販売設定パーフェクトガイド

ここからは、Shopifyで海外販売を始めるための具体的な設定手順を、4つのステップに分けて詳しく解説します。

Shopifyの管理画面をイメージしながら読み進めてみてください。

1. Shopify Marketsで販売したい国・地域を設定する

Shopifyでの越境EC設定は、「Shopify Markets」という管理機能から始まります。

これは、どの国や地域に販売するかを定義し、それぞれに合わせた設定を管理するためのハブとなる機能です。

  1. Shopifyの管理画面から [設定] > [マーケット] に移動します。
  2. [マーケットを追加] をクリックします。
  3. マーケット名(例:「北米」「ヨーロッパ」など)を入力し、[国/地域を追加] をクリックして、販売したい国を選択します。例えば、アメリカとカナダを「北米」マーケットとしてグループ化できます。
  4. [マーケットを追加] をクリックして保存します。

これだけで、選択した国への販売が有効になります。

まずはターゲットを1〜2カ国に絞り、スモールスタートで始めるのがおすすめです。

Shopify MarketsとMarkets Pro、何が違う?

Shopifyには、越境ECを支援する2つの主要なソリューションがあります。

  • Shopify Markets(無料):全てのShopifyプランに含まれる標準機能です。この記事で解説しているように、販売エリア、通貨、言語、ドメインなどを自分で管理できます。スモールスタートや、自社で国際業務をコントロールしたい場合に最適です。
  • Shopify Markets Pro(有料):取引ごとに手数料(6.5% + 為替手数料2.5%)が発生するアップグレード版です。最大の特徴は、Shopifyが「登録事業者(Merchant of Record)」となり、関税・輸入税の計算と徴収保証、各国の税務コンプライアンス対応などを代行してくれる点です。複雑な国際業務をアウトソースし、販売に集中したい事業者向けの包括的なソリューションです。

まずは無料のShopify Marketsで始め、事業が拡大し、関税や法規制の対応が煩雑になってきた段階でMarkets Proへの移行を検討するのが現実的なアプローチです。

2. 海外向けにサイトを最適化する(多言語・多通貨対応)

ターゲット国の顧客がストレスなく買い物できるよう、サイトの言語と表示通貨を最適化します。

多言語対応:

Shopify公式の無料アプリ「Translate & Adapt」を使えば、簡単にサイトを多言語化できます。

  1. Shopify App Storeから「Translate & Adapt」をインストールします。
  2. アプリを開き、[言語を追加] から翻訳したい言語を選択します。
  3. 商品名や説明文などを、言語ごとに手動で翻訳するか、2言語までなら自動翻訳機能を利用できます。

より多くの言語へ高品質な自動翻訳を行いたい場合は、「Weglot」などのサードパーティ製アプリの利用も検討しましょう。

多通貨対応:

Shopify Paymentsを有効にしている場合、顧客の所在地に合わせて自動で現地通貨を表示させることができます。

  1. 管理画面の [設定] > [マーケット] から、設定したいマーケットを選択します。
  2. [通貨と価格設定] の項目で [管理] をクリックします。
  3. 販売したい国の通貨にチェックを入れ、保存します。

これにより、例えばアメリカの顧客には米ドル(USD)、フランスの顧客にはユーロ(EUR)で価格が表示され、顧客は慣れ親しんだ通貨で決済できるようになります。

3. 海外決済手段を導入する(手数料と注意点も解説)

海外の顧客が安心して利用できる決済手段の導入は、購入率に直結する重要な要素です。

基本的には、以下の2つを導入しておけば、多くの国をカバーできます。

  • Shopify Payments:Shopify公式の決済サービスで、主要なクレジットカード(Visa, Mastercard, American Expressなど)に対応しています。設定が簡単で、多通貨決済にも標準で対応しているため、越境ECの必須ツールです。
  • PayPal:世界中で広く利用されている決済サービス。特に欧米ではクレジットカード情報を入力することに抵抗がある層も多いため、PayPalアカウントでの支払いが好まれます。信頼性の高い選択肢として、必ず導入しておきましょう。

ここで注意すべきなのが、越境ECにおける決済手数料です。

Shopify Paymentsを利用して日本円で売上を受け取る場合、通常の国内決済とは異なる手数料が適用されます。

  • 決済手数料:海外で発行されたクレジットカードやAmerican Expressでの決済には、プランに応じて3.8%〜3.9%の決済手数料がかかります。(ベーシックプラン: 3.9%, スタンダードプラン: 3.85%, プレミアムプラン: 3.8%)
  • 通貨換算手数料:さらに、顧客の支払い通貨とストアの受取通貨が異なる場合(例:顧客が米ドルで支払い、事業者が日本円で受け取る)、両替レートに加えて2.0%通貨換算手数料が別途適用されます。

つまり、100ドルの商品が売れた場合、決済手数料と通貨換算手数料を合わせると、合計で5.8%〜5.9%程度の手数料がかかる計算になります。

このコストは利益を大きく左右するため、必ず価格設定や事業計画に織り込んでおきましょう。

4. 国際配送と複雑な関税・税務の壁を乗り越える

越境ECにおける最大のハードルが、配送と税務です。

ここを乗り越えるためのポイントを解説します。

国際配送の設定:

まずは、どの配送業者を利用するかを決めます。

日本の事業者であれば、日本郵便(EMS、国際eパケットなど)や、クーリエ便(DHL、FedEx、UPS)が主な選択肢となります。

Shopifyの管理画面 [設定] > [配送と配達] から、国ごとに送料を設定します。

商品の重量や価格に基づいて、段階的な送料を設定することが可能です。

関税と輸入消費税への対応:

海外に商品を発送する際、多くの国では関税と、その国の消費税(VAT、GSTなど)が課されます。

これらの税金を「誰がどのタイミングで支払うか」には、主に2つの方法があります。

  • DDU (Delivered Duty Unpaid) / DAP (Delivered at Place):関税・消費税は荷受人(購入者)が支払う方法。購入者は商品受け取り時に、配送業者から請求される税金を支払う必要があります。多くの事業者が採用するシンプルな方法ですが、購入者にとっては想定外の費用となり、受け取り拒否のリスクがあります。
  • DDP (Delivered Duty Paid):関税・消費税を販売者(あなた)が元払いで支払う方法。チェックアウト時に予め税額を計算・徴収し、販売者が配送業者を通じて納税します。購入者は追加費用なく商品を受け取れるため顧客体験は向上しますが、販売者側の業務は複雑になります。

Shopifyでは、チェックアウト画面で関税と輸入税の見積もり額を表示する設定が可能です。

これにより、DDUの場合でも購入者は事前にコストを把握でき、トラブルを減らすことができます。

要注意!世界の複雑な税制度(EU・米国)

特にEUと米国への販売では、独自の税制度に注意が必要です。

  • EUのVATとIOSS制度:EU域外からEUの消費者へ販売される150ユーロ以下の物品には、販売時にVAT(付加価値税)を徴収し、一括で納付できる「IOSS」という簡素化制度があります。この制度を利用するには、EU域内の仲介業者を通じてIOSS登録を行うのが一般的です。利用は任意ですが、使わない場合は購入者が輸入時にVATと通関手数料を支払う必要があり、顧客満足度を損なう可能性があります。
  • 米国の売上税と経済的ネクサス:米国では、州ごとに売上税のルールが異なります。2018年の最高裁判決以降、多くの州で「経済的ネクサス」というルールが導入されました。これは、その州に物理的な拠点がなくても、年間の売上高(例:10万ドル以上)や取引件数(例:200件以上)が一定の基準を超えた場合、その州の売上税を徴収・納税する義務が発生するというものです。基準は州ごとに異なるため、米国での販売が拡大してきた際には、必ず専門家への相談が必要です。

これらの税務リスクを自社だけで管理するのは非常に困難です。必ずJETROや税務の専門家に相談し、最新の情報を確認してください。

サイト公開後が本番!海外向けの集客と顧客対応のポイント

Shopifyストアの構築は、あくまでスタートラインです。

本当の勝負は、サイトを公開してから始まります。

ここでは、海外の顧客をいかにして集め、満足してもらうか、その要点を解説します。

海外向けデジタルマーケティング戦略:

日本のやり方がそのまま通用するとは限りません。

ターゲット国の文化や主要なプラットフォームを理解した上で、戦略を立てる必要があります。

  • 海外SEO:ターゲット言語でのキーワード調査を行い、現地の人が使う言葉で検索されるようにサイトコンテンツやブログ記事を最適化します。hreflangタグを設定し、Googleに言語や地域のターゲティングを正しく伝えることも重要です。
  • SNSマーケティング:国によって主流のSNSは異なります。米国ならInstagramやFacebook、東南アジアならTikTokが強いなど、ターゲットに合わせたプラットフォームで情報発信や広告配信を行います。
  • インフルエンサーマーケティング:現地のインフルエンサーに商品レビューを依頼するのは、認知度と信頼性を獲得する上で非常に効果的です。マイクロインフルエンサーから始めることで、コストを抑えつつ高いエンゲージメントが期待できます。

グローバルな顧客対応体制の構築:

問い合わせや返品依頼に迅速かつ丁寧に対応することは、海外顧客からの信頼を得るために不可欠です。

  • 言語の壁:問い合わせは基本的に現地の言語で来ます。DeepLなどの高精度な翻訳ツールを活用すれば、ある程度の対応は可能です。頻繁に来る質問はFAQページとして多言語で用意しておくと、問い合わせ件数を減らせます。
  • 時差への対応:24時間対応は難しくても、「〇営業日以内に返信します」といったポリシーを明記しておきましょう。チャットボットを導入し、簡単な質問には自動で回答させるのも有効な手段です。
  • 返品・交換ポリシー:海外からの返品は送料が高額になるため、国内とは異なる返品ポリシーを設ける必要があります。サイトの分かりやすい場所に、返品条件や手順、送料の負担について明確に記載しておきましょう。

Shopify越境ECの成功事例から学ぶ事業成長のヒント

理論だけでなく、実際の成功事例から学ぶことは非常に重要です。

ここでは、Shopifyを活用して海外販売を成功させている日本企業の事例を参考に、事業成長のヒントを探ります。

  • 事例1:伝統工芸品ブランド「COCORO」
    日本の伝統工芸品を世界に販売するCOCOROは、Shopifyで構築した美しいストアと、商品の背景にあるストーリーを丁寧に伝えるコンテンツで、海外のファンを獲得しています。Instagramで職人の技や制作風景を発信することで、商品の付加価値を高め、高価格帯でも購入につながる信頼関係を築いています。これは、ストーリーテリングがいかに重要かを示す好例です。
  • 事例2:日本茶ブランド「NODOKA」
    ニューヨークを拠点にオーガニック日本茶を販売するNODOKAは、Shopifyを使ってサブスクリプション(定期購入)モデルを導入。安定した収益基盤を確立しています。現地のライフスタイルに合わせた商品提案(例:マインドフルネスやウェルネスとしての抹茶)を行い、文化の壁を越えて新たな顧客層を開拓した点も、学ぶべきポイントです。
  • 事例3:文房具メーカー「カキモリ」
    東京の文房具店カキモリは、オーダーメイドノートの体験をオンラインで再現。Shopifyの機能をカスタマイズし、顧客が表紙や中紙、リングの色を自由に選べるようにしました。この「体験価値」の提供が海外でも受け、多くのファンを生み出しています。単に商品を売るだけでなく、ユニークな購入体験をデザインすることが、競合との差別化につながります。

これらのShopify越境ECの事例からわかる共通点は、ただ商品を海外向けに発送するだけでなく、ターゲット国の文化やニーズを深く理解し、ブランドのストーリーや独自の価値を伝えようと努力している点です。

【稟議対策】越境ECにかかる費用と投資対効果(ROI)の考え方

越境ECプロジェクトを進める上で、上司や経営層を説得するための「費用対効果」の説明は避けて通れません。

ここでは、稟議書作成にも役立つ、費用の内訳とROI(投資対効果)の考え方を解説します。

越境ECにかかる費用の全体像:

費用は大きく「初期費用」「月額固定費」「変動費」の3つに分類できます。

  • 初期費用(イニシャルコスト):
    • Shopifyストア構築費用(自社で行う場合は人件費、制作会社に依頼する場合は外注費)
    • 有料デザインテーマ購入費(約2〜4万円)
    • ブランドロゴや商品写真などの素材制作費
  • 月額固定費(ランニングコスト):
    • Shopifyプラン料金:主要3プランの月額料金(年払い契約時)は、「ベーシック」が3,300円、「スタンダード」が9,200円、「プレミアム」が39,800円です。事業規模に合わせて選びましょう。
    • 有料アプリ利用料:翻訳、関税計算、マーケティング自動化など。月額数千円〜数万円。
    • ドメイン費用(年額)
  • 変動費(売上に比例するコスト):
    • 決済手数料:売上の約3.8%〜5.9%(前述の決済手数料+通貨換算手数料)
    • 広告宣伝費:Google広告、SNS広告など。
    • 国際配送料、梱包資材費
    • 専門家への相談費用(税理士、コンサルタントなど)

投資対効果(ROI)の考え方:

ROIは「(利益 ÷ 投資額) × 100」で計算されます。

越境ECのROIを正確に予測するのは困難ですが、稟議を通すためには「仮説」としてのシミュレーションが有効です。

  1. 売上目標を設定する:ターゲット市場の規模や競合を参考に、現実的な月間売上目標を立てます。(例:月商100万円)
  2. 利益を試算する:売上目標から、原価と上記の変動費を差し引いて、おおよ

    その利益を計算します。

  3. 投資額を算出する:上記の初期費用と、一定期間(例:半年間)の固定費・広告費を合計して、総投資額を算出します。
  4. ROIを計算し、投資回収期間を見積もる:算出した利益と投資額からROIを計算し、どのくらいの期間で初期投資を回収できるかの見通しを立てます。

重要なのは、最初の数ヶ月は赤字になる可能性が高いことを率直に伝えることです。

その上で、テストマーケティングを通じて得られるデータ(顧客獲得単価、コンバージョン率など)を基に、将来的に黒字化するための道筋を示すことが、説得力のある事業計画につながります。

まとめ:Shopifyでの海外販売を成功させる最初の一歩

Shopifyを活用した越境ECは、もはや一部の大企業だけのものではありません。

正しい知識と手順を踏めば、中小企業や個人でも世界中の顧客に自社の商品を届けることが可能です。

本記事で解説したロードマップを参考に、まずは「どの国で、誰に、何を売りたいのか」という事業の核となる部分を明確にすることから始めてみましょう。

決済、配送、税務といった複雑な課題は、Shopifyの優れた機能と、必要に応じた専門家のサポートを活用することで必ず乗り越えられます。

完璧な計画を待つのではなく、まずはターゲットを絞ってスモールスタートを切ること

それが、Shopifyでの海外販売を成功させるための、最も確実な最初の一歩です。

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