チャットボットはカスタマーサポート業務を効率化・自動化する目的で2017年あたりから注目を集めています。近年はChatGPTを代表とする生成系AI技術の台頭により、市場が大きく変わりつつある状況です。
今でこそ大量のラインナップがあるチャットボットですが、Shopifyで活用するならどれを選ぶべきでしょうか?
今回はチャットボットを大きく3つに分類した上で、導入目的別におすすめのチャットボットを3つご紹介します。これからShopifyへチャットボットの導入を検討されている方であれば、ぜひ最後まで記事をご覧ください。
そもそもShopifyで使えるチャットボットには大きく3種類がある
そもそもチャットボットには複数の種類があることをご存知でしょうか?
一言でチャットボットといっても、システムによって得意とする領域や搭載されている機能が全く異なります。Shopifyへチャットボットを導入するにあたって、まずはこの基本的な知識から理解すると良いでしょう。
今回はチャットボットを大きく3種類に分類し、その特徴をまとめました。
- AI非搭載のシナリオ型チャットボット
- AI搭載型の高性能チャットボット
- 有人対応機能が付いているチャットボット
1. AI非搭載のシナリオ型チャットボット
1つ目がAIが搭載されていない「シナリオ型」と呼ばれるチャットボットです。価格は非常に安価で、ものによっては月額5,000円以下で利用できるものも存在します。
このチャットボットは事前にシナリオを作成しておき、利用者が質問分岐を選ぶ形で回答を絞り込む形でコミュニケーションを取る特徴があります。
例えば、「配送に関する質問」→「商品が届かない」といった風にシナリオを選択していき、最終的に「商品が届かなかった場合の対応方法」について説明されている回答文が表示されるような形式を取ります。
AI非搭載のシナリオ型チャットボットは、一問一答形式の簡単な質疑応答に答えることが得意です。よくある質問などをチャットボットに登録し、問い合わせを削減するなどの活用方法があげられます。
2. AI搭載型の高性能チャットボット
2つ目はAIが搭載されている高性能なチャットボットです。AIが搭載されている分価格は高い傾向にあり、月額3万円から20万円程度のものまで存在します。
AIチャットボットはAIの使い方によってさらに細かく2分類されます。
- データベース検索型のAIチャットボット(自然言語理解のAIを活用)
- 自然文生成型のAIチャットボット(自然言語生成のAIを活用)
2023年現在において製品化・販売されているチャットボットは前者のデータベース検索型のAIチャットボットが多いです。自然文生成型のAIチャットボットについては、ChatGPTなど新しい技術が使われているものが該当しますが、なかなか実用されているケースを見ません。
AI搭載型のチャットボットは、利用者の疑問を高い精度でくみ取り、大量のFAQの中からもっとも関連度の高い回答を導き出します。商品の種類が大量にある場合や、型番などバリエーションが多岐に渡る場合などに導入を検討すると良いでしょう。
3. 有人対応機能が付いているチャットボット
3つ目はAIの有無を問わず、オプション機能として有人対応機能がついているチャットボットです。たいていの場合は、初回の利用時はシナリオ型チャットボットが起動し、回答解決できなかった場合に有人対応機能に切り替わる仕組みで提供されています。
有人対応機能を活用するためには、社内にカスタマーサポートチームを常駐させる必要が生じます。その分運用コストが高くなってしまいますが、顧客ひとりひとりの細かい要望に合わせて最適な回答を提示できる点や、チャットサポートの中で商品の営業活動ができる点が魅力です。
従来は問い合わせを削減する目的で注目されてきたチャットボットですが、最近は有人対応機能へのニーズが高まっており、特にShopifyへチャットボットを導入するのであれば有人対応機能が搭載されているチャットボットを導入することをおすすめします。
導入目的別!Shopifyに導入すべきおすすめのチャットボット3選
ここからは、Shopifyに導入すべきチャットボットアプリを導入目的別に5種類紹介します。
チャットボットを選ぶ際には必ず導入目的を具体的に定め、それを達成できるツールを選ぶようにしましょう。
- 顧客接点を作って売上拡大を目指したい方におすすめのチャットボット
- チャネルトーク
- 問い合わせを前さばきして削減したい方におすすめのチャットボット
- ChatPlus
- KARAKURI chatbot
(余談ですが、本記事の執筆者は担当ECサイト内でチャネルトークを活用しています。海外の製品ですが日本語サポートが充実しており、機能面も高性能で安いので大変おすすめです!)
顧客接点を作って売上拡大を目指したい方におすすめのチャットボット
まずは、顧客接点を作って売上拡大を目指したい方におすすめのチャットボットをご紹介します。
どちらのチャットボットにもCRM機能がついており、問い合わせ内容と顧客の購買情報を紐づけた状態でカスタマーサポート業務を提供することができます。
チャネルトーク
チャネルトークは、シナリオ型チャットボットの機能に合わせて有人対応機能が搭載されているツールです。Shopifyのapp storeからもアプリを追加することができ、適切に機能連携することで御社の顧客情報と問い合わせ情報を紐づけたままカスタマーサポートできるようになります。
チャネルトークの利用料金は無料プランから月額$84のプランまでが公開されており、月間利用ユーザー数に応じてプランを選ぶ仕組みになっています。
社内コミュニケーションツールのようなインターフェースで操作することができ、顧客対応中は常に購買データなどを参照することができるため、ぜひ一度利用していただきたいツールです。
詳しいサービス概要についてはこちらから公式サイトを確認いただくか、サービス紹介動画を確認してみてください。
問い合わせを前さばきして削減したい方におすすめのチャットボット
次に、問い合わせをチャットボットに前さばきさせて削減したい方におすすめのチャットボットをご紹介します。
あくまでも問い合わせ削減に焦点を当てたチャットボットが多いため、問い合わせを顧客情報と照合させて売上拡大に役立てる等の使い方は難しい点には注意しましょう。
一方で、問い合わせが来すぎていて電話対応し切れていない等の課題があるECサイトであれば、すぐに導入検討することをおすすめします。
ChatPlus
ChatPlusは最低初期費用0円・月額1,500円からチャットボットを導入できるツールです。
シナリオ型チャットボット、AIチャットボット、有人チャットボットなど幅広い選択肢がプランとして提供されており、自社の規模に応じて無駄のない機能を採用することができます。
国内のチャットボットベンダーとしては珍しく、ECサイトでの導入事例が多いことも特徴的です。申し込みフォーム機能やShopifyとの連携機能なども搭載されているため、まずは試してみよう!という方であればChatPlusを選ぶといいでしょう。
KARAKURI chatbot
次に、自然言語処理型のAIを搭載したKARAKURIチャットボットです。
AIによって高い精度で回答を提示することができ、ECサイトの問い合わせページや商品ページに設置することで問い合わせの削減・カゴ落ちの防止などを期待することができます。
また、AIチャットボットとしては珍しく有人チャットボットやCRMとの連携機能が実装されており、特にアパレル業界のECサイトへの導入事例が豊富です。
ChatGPTをチャットボットとして活用することは可能?
2023年の初頭から「生成系AI」として注目が集まっているChatGPTですが、これをECサイト内でチャットボットとして活用することは可能なのでしょうか。
記事執筆現在(2023年6月30日)の私見ですが、ChatGPTをカスタマーサポートの文脈で活用するにはクリアしなければならない課題が複数あると考えています。
- 回答レスポンス速度の問題
- 回答内容の正確性の問題
もちろん、従来のチャットボットと比べて柔軟に回答文を生成できる点にはChatGPTの利点がありますが、情報正確性に乏しかったり、回答提示までに時間がかかってしまったりする状況を踏まえるに、ChatGPTをカスタマーサポートのために活用するのは現状難しいと判断しています。
一方で生成AIに関する情報は日々目まぐるしく更新されているので、新しいサービスがリリースされていないか、定期的にウォッチすることも必要でしょう。
Shopifyに導入すべきおすすめのチャットボットまとめ
チャットボットは大きく分けて3種類があり、導入目的に合わせてそれぞれを賢く選ぶ必要があることをご紹介しました。
- AI非搭載のシナリオ型チャットボット
- AI搭載型の高性能チャットボット
- 有人対応機能が付いているチャットボット
Shopifyで構築したECサイトに問い合わせが多く寄せられており、問い合わせ数を削減したい場合であればシナリオ型チャットボットやAIチャットボットを導入しましょう。
問い合わせ対応業務の中でも顧客接点を作り、商品購入を促進したいという方であれば、有人対応機能が付いているチャットボットを選ぶことがおすすめです。
また、中にはShopify内に蓄積された顧客データと問い合わせ内容を連携することができるチャットボットもリリースされています。事業規模やチャットボットの導入目的に応じて、賢くツール選びをすると良いでしょう。