Shopify構築における消費税設定について解説!軽減税率や税込表示の方法、海外販売時の税金設定は?

Shopifyを構築するにあたっては、消費税率を設定が多くのEC担当者の頭を悩ませます。
日本だけで展開する場合においても軽減税率を設定する必要がありますし、海外展開する場合であればその設定はより複雑になります。
また、ShopifyはグローバルなECプラットフォームであることもあり、初期設定のままでは日本の消費税が正しく反映されないケースもあります。設定を怠ると消費税の徴収漏れや過剰徴収につながり、後々の修正作業や、追徴課税のリスクも発生しかねません。 正確な設定は、信頼性の高いストア運営の第一歩です。
この記事では、Shopifyにおける日本の消費税設定の基本的な方法から、多くの方がつまずきやすい「税込価格(総額表示)の設定」「軽減税率(8%)への対応」「海外販売時の非課税設定」、そして意外と見落としがちな「Shopify利用料の消費税」まで、皆さんが抱える疑問や課題に焦点を当てて、分かりやすく解説します。
Shopifyの消費税率を日本のルールに合わせる設定方法
Shopifyストアで商品を販売する上で、日本の消費税ルールに沿った正確な設定は不可欠です。ここでは、まず基本となる日本の消費税率を設定する手順を確認しましょう。
Shopify管理画面での基本的な税設定手順
Shopifyの管理画面から日本の消費税を設定する基本的な流れは以下の通りです。
- Shopify管理画面の左下にある「設定」をクリックします。
- メニューから「税金と関税」を選択します。
- 「税の地域」セクションで、ストアの拠点となっている国(日本)が表示されているか確認します。
- 日本の横にある「設定」または「管理」をクリックします。
- 「基本税」セクションで、「国の税率」が10%(標準税率)になっているか確認します。初期設定で10%になっていることが多いですが、念のため確認しましょう。
これで、ストア全体に日本の標準税率10%が適用される基本的な設定ができました。この設定が全ての消費税設定の基礎となります。
商品価格に税金を含めるかどうかの設定
日本の消費者向け販売では「総額表示(税込価格表示)」が義務付けられています。そのため、Shopifyでも商品価格に消費税を含めて表示する設定が推奨されます。
税設定画面の下部にある「グローバル設定」セクションで、「商品価格と配送料に売上税を含める」にチェックを入れます。これにより、商品ページやカート画面で表示される価格が、消費税込みの価格になります。
この設定については、次の「Shopifyで税込価格(総額表示)を表示する方法」で詳しく解説します。
<構築のポイント>
Shopifyの税設定は、一度設定したら終わりではありません。税法が改正された場合や、Shopifyのシステムアップデートがあった場合など、定期的に設定内容を見直す習慣をつけましょう。
特に、事業が拡大し、取り扱い商品や販売地域が増える際には、設定が現状に合っているか再確認することが重要です。不明な点があれば、早めに専門家(税理士など)に相談することをおすすめします。
Shopifyで税込価格(総額表示)を表示する方法
日本のストアでは、顧客に対して商品価格を消費税込みの総額で表示することが義務付けられています。Shopifyでこの「総額表示」を正しく設定する方法を見ていきましょう。
日本の総額表示義務とは?
総額表示義務とは、消費者が商品やサービスを選ぶ際に、最終的に支払う金額が一目でわかるように、事業者が価格を表示する際には消費税額を含めた「総額」を表示しなければならないというルールです。これにより、価格の比較が容易になり、消費者を保護する目的があります。
例えば、税抜909円(消費税10%)の商品は、「999円」や「999円(税込)」のように表示する必要があります。「909円+税」といった税抜価格のみの表示は原則として認められていません。
Shopifyで全商品の価格を税込表示にする設定
Shopifyで総額表示を実現する最も簡単な方法は、管理画面の税設定で「すべての価格を税込価格で表示する」オプションを有効にすることです。
- Shopify管理画面の「設定」>「税金と関税」に移動します。
- 画面をスクロールし「グローバル設定」セクションを見つけます。
- 「商品価格と配送料に売上税を含める」にチェックを入れます。
- 右上の「保存する」をクリックします。
この設定を行うことで、商品登録時に入力した価格が「税込価格」として扱われ、ストアフロントにも税込価格が表示されるようになります。
<注意点>
この設定を有効にする前に、商品登録時に入力している価格が「税抜価格」なのか「税込価格」なのかを確認してください。もし税抜価格で登録していた場合、この設定を有効にすると、登録した価格がそのまま税込価格として表示されてしまうため、意図せず価格が下がってしまう可能性があります。
必要に応じて、設定変更前に商品価格を税込価格に修正しましょう。
テーマによっては追加設定が必要な場合も
ほとんどのShopifyテーマは「すべての価格を税込価格で表示する」設定に対応していますが、古いテーマやカスタムテーマを使用している場合、設定を有効にしても税込表示が正しく反映されないことがあります。
もし設定後も税込表示にならない場合は、テーマのコード(Liquidファイル)の編集が必要になる可能性があります。コード編集に不安がある場合は、Shopify Expertsや開発者に相談することをおすすめします。
軽減税率を商品ごとに設定する方法
日本の消費税には、標準税率10%の他に、特定の品目に適用される軽減税率8%があります。食料品などを扱っているストアでは、この軽減税率への対応が必須です。Shopifyで軽減税率を設定する方法を解説します。
軽減税率(8%)の対象となる商品とは?
軽減税率(8%)の対象となるのは、主に以下の品目です。
- 飲食料品(酒類・外食を除く)
- 週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)
自社で取り扱っている商品が軽減税率の対象となるかどうか不明な場合は、国税庁のウェブサイトや税理士にご確認ください。正確な判断が重要です。
特定の商品やコレクションに軽減税率を設定する手順(税の優先適用)
Shopifyでは、「税の優先適用」機能を使って、特定の商品やコレクションに対して標準税率(10%)とは異なる税率(この場合は8%)を適用することができます。
※事前に軽減税率の対象となる商品コレクションを作成しておきましょう
- Shopify管理画面の「設定」>「税金と関税」に移動します。
- 「地域別の設定」で「日本」を選択します
- 画面をスクロールし「税の優先適用」セクションで、「税の優先適用を追加」をクリックします
- 「商品」または「コレクション」を選択し、軽減税率を適用したい商品または事前に作成したコレクションを指定します。
- 「優先適用する税率」に「8%」と入力します。
- 「保存する」をクリックします。
この設定により、指定した商品またはコレクションに含まれる商品には、ストアの基本税率(10%)よりも優先して8%の消費税が適用されるようになります。
コレクションを利用すると、複数の商品をまとめて管理できるため効率的です。例えば、「食品」というコレクションを作成し、そのコレクションに対して軽減税率8%を適用する、といった使い方ができます。
商品登録時に個別に税率を設定することもできるが、非推奨
税の優先適用を使わずに、商品登録・編集画面で個別に税率を設定することも可能です。ただし、日本の消費税設定(国レベルでの税率設定)が正しく行われていることが前提です。
商品登録・編集画面の「価格設定」セクションにある「商品価格に税を適用する」のチェックボックスは、あくまで価格表示を税込にするかどうかの設定であり、税率そのものを変更するものではありません。軽減税率の適用は、前述の「税の優先適用」機能で行うのが確実です。
<構築のポイント>
軽減税率対象商品と標準税率対象商品を同時にカートに入れた場合など、複数の税率が混在するケースも想定されます。
設定後は、実際に様々なパターンで商品をカートに入れ、チェックアウト画面まで進み、各商品の税率と合計金額が正しく計算・表示されているか必ずテスト購入(またはテスト注文)で確認しましょう。税区分が顧客に分かりやすく表示されているかもチェックポイントです。
越境ECでも安心!海外販売時の消費税(非課税)設定
Shopifyを使って海外の顧客に商品を販売する場合、日本の消費税の扱いは国内販売とは異なります。越境ECにおける消費税の基本的な考え方と、Shopifyでの設定方法について解説します。
海外への販売は消費税がかからない?(輸出免税)
日本の消費税は、原則として国内での商品やサービスの消費に対して課税される税金です。そのため、海外の顧客に向けて商品を販売(輸出)する場合、日本の消費税は課税されません。 これは「輸出免税」と呼ばれる制度に基づきます。
つまり、海外への配送を指定した注文については、商品価格に日本の消費税を含めずに販売する必要があります。
Shopifyで海外顧客向けに消費税を非課税にする設定
Shopifyでは、配送先の国に基づいて税率を自動的に調整する機能があります。日本の消費税設定が正しく行われていれば、基本的には海外の住所が配送先に指定された場合、自動的に消費税が0%(非課税)として計算されます。
設定を確認・調整する手順は以下の通りです。
- Shopify管理画面の「設定」>「税金と関税」に移動します。
- 「税の地域」セクションを確認します。デフォルトでは、ストアの拠点がある国(日本)以外の地域は「その他の国/地域」としてまとめられていることが多いです。
- 販売対象とする国が個別に設定されていない場合は、「その他の国/地域」の横にある「設定」または「管理」をクリックします。
- 「税率」が0%になっているか、または税金が徴収されない設定になっているかを確認します。通常、海外向けには自動で0%が適用されます。
- もし特定の国に対して個別に税設定(例えば、その国の付加価値税VATなど)を追加したい場合は、別途その国を追加して設定する必要がありますが、日本の消費税に関しては、海外配送の場合は0%とするのが基本です。
この設定により、顧客がチェックアウト時に海外の配送先住所を入力すると、カート内の商品の消費税が自動的に0円として再計算されます。
配送地域ごとの税設定の重要性
海外販売を行う場合、配送先の国によっては、その国の税金(VAT、GSTなど)を徴収・納付する必要が出てくる場合があります。これは日本の消費税とは別の問題であり、各国の税法に基づいた対応が求められます。
Shopifyでは国ごとに税率を設定することも可能ですが、各国の税務要件は複雑です。本格的に海外販売を展開する場合は、販売対象国の税法に詳しい専門家(国際税務に強い税理士やコンサルタント)に相談することを強く推奨します。
<構築のポイント>
海外販売時の価格表示について考慮しましょう。日本の顧客には税込価格を表示し、海外の顧客には(日本の)消費税抜きの価格を表示したい、と考えるかもしれません。
Shopifyの設定やアプリ、テーマのカスタマイズによって、顧客の所在地に基づいて表示価格を自動調整することも可能です。
ただし、設定が複雑になる場合もあるため、費用対効果を考慮して導入を検討しましょう。まずは、チェックアウト時に配送先に応じて税金が正しく計算されることを確認するのが第一歩です。
Shopifyの消費税設定で自信を持ってストア運営を
この記事では、Shopifyにおける日本の消費税設定について、基本的な設定方法から、税込表示、軽減税率対応、Shopify利用料の扱い、海外販売時の設定まで、皆さんが抱える主な疑問点に焦点を当てて解説しました。
もう一度、重要なポイントをおさらいしましょう。
- 基本設定: 管理画面から日本の税率(標準10%)を正しく設定する。
- 税込表示: 「すべての価格を税込価格で表示する」にチェックを入れ、総額表示に対応する。
- 軽減税率: 「税の優先適用」機能を使い、対象商品やコレクションに8%を設定する
- 海外販売: 輸出免税のため、海外配送先には消費税0%が自動適用される(要確認)。
これらの設定を正しく行うことで、「消費税の計算は大丈夫だろうか?」という不安から解放され、日々のストア運営に自信を持つことができます。設定ミスによる損失やトラブルのリスクを減らし、顧客からの信頼も高まるでしょう。
消費税の設定は、地味ながらもストア運営の根幹に関わる重要な要素です。この記事が、皆さんのShopifyストア運営の一助となれば幸いです。
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